開発に際して

1. 肌を傷めないタオル  無いなら作ろう

子育てと学習塾運営時代
神戸の子供服のファミリア品質管理室勤務を経て、出産を機に家庭に入り、子育てとともに自宅で学習塾を運営していた頃、“ナイロンタオルは肌を擦って傷める”と話題になりました。肌を傷めないタオルを大型店で探しても、そのような機能のタオルは市販されていません。
「多くの人が困っている。無いなら作ろう。」と開発をスタートしました。

 

2.試作  10年かけて完成した特許の構造

モニターと改良の繰り返し

’90年代半ば、今のように正しい肌の洗い方の情報はありませんでした。様々な試作品を作り、自分の肌で試し、モニターを繰り返して改良を加えていくうちに、ある日、タオルが私の肌の上をつるつると滑り、今までにない感触を得ました。これが肌を擦らない洗い方!と実感し、それからはタオルが肌の上を滑る条件を追い求め、二年ほど様々な材質を試し泡の立て方を工夫して、泡立ちと肌ざわりの良いタオルの構造が決まりました。これは特許になるかも知れないと思い夫に相談しました。

3. 特許申請とビジネスの壁

特許取得の道 公的機関を利用
メーカーの技術開発で特許に係っていた夫の協力で 特許申請書の作成を始めた頃、大阪の(一社)全国発明婦人協会(*)を知り入会して特許の知識を得、また、各県に開設されている発明協会の相談窓口を利用し、数々の個人への支援制度を利用して、料金も時間も節約して特許を取得することができました。

ビジネスの壁

特許を取得した後、メーカーに売り込みを始めますが、サンプルを一目見て「そんな生産コストが掛かるものは商売にならん」と全社門前払いとなりました。

4. 自分で、最高の浴用タオルを製造しよう 

初期の販売活動

肌を傷めない浴用タオルをぜひ世に出したいと、 16年続けた学習塾を閉めて、自分で製造する決心をしました。 

「コストを気にしないで、肌にとって最高の浴用タオルを創ろう、もっと今までと違ったタオルを」と、出会ったのがクモの糸の様に細いマイクロ繊維です。自作した製品を大学の先輩方にプレゼントしたら大好評で、次々と注文をいただきました。

そして、肌の弱いモニターさんで“髪の毛先が当たっても痛い、肌着は縫い合わせが痛いから裏にして着用”という特に敏感肌の方に「初めて全身をちゃんと洗えました!」と絶賛され、この言葉を聞いて、肌を傷めない浴用タオルの完成を告げられた思いがしました。

全国販売が実現

当時憧れの東急ハンズの仕入れ部で商品説明の機会を得て取り扱いが決まり、‘08年、全国の東急ハンズでの販売が実現しました。

ストレスと健康問題

他にも販売先が増え、ビジネス初心者である私にとって、大規模な販売店との取引は大きなストレスを伴い、TVや新聞の取材は嬉しくもありストレスにもなって体調不良となりました。当時、ストレスを感じる大手さんとは止めようと、2年半で取引を辞退して、後になって思えば大変ご迷惑をおかけしました。販売範囲を縮小し、個人代理店やネット販売、美容サロン、自然食品店など、お客様との距離が近い範囲での販売に切り替えて、お客様とも商品ともじっくり向き合い10年余が過ぎました。

5. お客様の声に支えられて

感謝の声と新たな発見

小規模な販売に切り替えた後、口コミで広がり、多くのお客様から「長く悩まされていた肌トラブルが改善した」との感謝の声が寄せられました。あわみんタオルには、予想もしていなかった効果があることをお客さまからの声によって知ることになりました。

どうしてそのような効果が表われるのか確かめるために、大学で学んだ界面活性剤の性質や繊維との関係、肌の構造などを調べた結果、あわみんの特長である「①肌を擦って傷めない性質②豊富な泡量③あわみんが生み出すキメ細かい泡の洗浄力と吸着力」この3点の相乗効果であることが分かりました。

発売以来15年、この間にお客様から寄せられた数々の声を思い、あわみんは「お肌が喜ぶタオル」という思いにいたりました。

6. 現在と未来

あわみんは、私の手作り試作品から始まり、口コミで広がり、現在も多くの方に愛用されています。‘21年には、従来のマイクロ繊維素材に少し厚みを持たせた二代目あわみんと、二つ折りにした小型のあわみんの発売を始めました。また、腕や体の動きが不自由な方向けの洗い具の企画があり、受注生産が可能です。